日本の若者の「英語力」が下がっても何の問題もない
日本経済新聞の2023年11月18日の記事によれば
世界的な語学学校運営企業のEFエデュケーション・ファースト(スイス)はこのほど、英語を母国語としない国・地域について2023年の「英語能力指数」ランキングを発表した。日本は過去最低の87位。若い世代の英語力低下が目立った。
とのことである。
これが20年前の話なら、確かに英語力が落ちるということは、そのまま海外の多様な情報を得ること、海外の企業を相手にしたビジネスを行うこと、などの点で著しく不利になるため、大きな問題点になると言えただろう。
「英会話力」は「翻訳アプリ」に駆逐される
しかし今や、ドラえもんの中に出てくる、「食べただけでそのまま外国人との外国語での会話が可能になる」<ほんやくコンニャク>が実用化されるがすぐそこまで来ているのだ。
なぜなら、まずテキスト上ではすでに非常に優秀な(つまり誤訳の少ない)翻訳アプリができている。同時に音声を言語として認識し、同時に言語を音声に変換するアプリも、その変換の時間が非常に短い、音声の聞き間違えが少ないという意味で優秀なものが開発されている。
この上記の2つを組み合わせれば、我々は母国語で話したものが瞬時に対話相手の母国語に変換され、音声となって発生られる。逆に相手の発した言語をテキストに変換して一瞬で我々の母国語に翻訳する、この相互の「翻訳アプリ」を実用化することなど、もうあと1年も待てば完成するからである。
つまり「スキル」としての「英語」を始めとする「外国語」の会話、文章化は持っていても仕方がない時代が、あとほんの少しでやって来るのである。
日本の若者の英語力が低いのも、多分彼らは必要に応じて、既にリリースされている翻訳アプリを利用しているからに違いない。
今後大切なのはスキルではなく「内容を考える知力」だ
従って、今後の教育は「スキル」を身に付けさせることではなく、「何を話すのか」「どう対話するのか」「何を発想するのか」という「中身」をいかに充実させるのか、という「教育」の本質に迫っていかざるを得ないだろう。
つまり「問題だ!」と危機感を叫ぶべきは、あと数年で必要ではなくなる「英語教育」ビジネスを営んでいる者たちの方なのである。