立憲民主党が与野党合同の改憲審議会に参加するとかしないとかいうニュースが流れて来ました。
そういえば、きちんと改憲の内容を草案レベルまで見ていなかったなと思い、自民党が平成24年に発表した、自民党としての日本国憲法改正草案を見てみました。
私は基本的に改憲賛成派、というよりも少なくとも宗教の聖典でもあるまいし、時代と世界情勢に合っていない部分はどんどん改正して、旬なものにしていくべきだと思っています。
ですので、改正自体は賛成ですが、内容については是々非々で判断したいと思っています。
ということで見た結果、ですが、見てよかったです。
私は実は自民党員ですが(というよりも高市早苗後援会に入ったら自動的に自民党員になったというクチですが)、だからと言って自民党案を丸のみでOKではない、ということが分かりました。
以下、私の判断で「大きな、重要な改正点」とそれについての私の立場を明らかにしようと思います。
私1人が明らかにしたからと言ってどうということもないのですが、どんな時でも自分の意見をしっかり発言するのがいいことだと思うので。
ですので、私の意見に賛成、反対の方もいらっしゃると思いますが、そういう方はそういう方でどんどん意見を発表なさればいいと思います。
では改正草案とそれについての意見を挙げていきます。
第1条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく
これは1条からとんでもない改正案です。そもそも天皇が「元首」、国民が「主権者」ということの両立は論理的にあり得ません。
なぜなら、『大辞泉』によれば元首は「国家の首長。国際法上、外国に対して国を代表する者。君主国では君主、共和国では大統領。」です。
さらに首長とは「首長は、行政機関における独任制の長を意味する用語で、広い意味では一般に集団・組織を統率する長を意味する」とあります。
つまりこの改正案で天皇を元首にするということは、天皇を「国を統率する長」にするということで、完全に国民の主権とバッティングします。
この条文自体、矛盾しているのです。
そもそも現行憲法では天皇はご存じの通り「象徴」です。
これは敗戦後、日本国憲法を作成するときに、天皇制廃止を主張するGHQと、残すことに固執する敗戦政府との折衷で「Symbol」という言葉を思いつき、その訳語が「象徴」になったという経緯があります。
つまり「戦後処理」の暫定案なのです。
従って「戦後が終わった」ともう50年も前に言われた以上、その折衷案を生かしていく必要もありません。
おそらくここまでは自民党も同じ考えで、そのアウトプットが「元首」ということなのでしょう。
これははっきり言って日本を天皇制に戻すことを目的にしている条文です。
そのような、国民の意思が反映しない、超法規的な存在としての「国の代表者」が国政を統括するような制度に私は絶対賛成できません。
私はそもそも天皇制だって要らないと思っているくらいで、今上帝で皇室制度を廃止してもいいと考えています。
今上帝は素晴らしい人格者かも知れませんが(多分そうなのでしょう)、しかし制度として皇室が日本にある必要はありません。
どうしても「元首」が欲しいなら、アメリカのような直接民主制のもと、国民投票で「大統領」を決めればいいのです。
ということで、もしも自民党がこのまま改正案を提示するなら、私は自民党員を辞め、反対票を投じます。
この条文は、まさに大日本帝国憲法第1条の「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」を曖昧に、しかし実は復活を目指したものです。
このような条文を成立させたら、同じく草案の中にある「6条2項の1 憲法改正、法律、政令及び条 約を公布すること。」が悪用されて、元首を操って自分たちに都合の良い法案を通してしまう、偏った思想の輩が現れるに決まっています。
次。
3条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
3条2項 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
2項は賛成ですが、国歌を君が代にするのは反対です。
国歌が君が代になった経緯をご存じですか。
曲だけ先にできていて、詞がないので当時の担当者がとりあえずおめでたそうなものを当てはめただけなのです。
加えて、この歌詞は「天皇の長寿を祈る」内容で、国民が幸せになるように、というものではありません。
ですから国歌にはふさわしくありません。
国歌を尊重するのは当然ですが、それを条文化するなら(条文化しなくても)、新たな国歌を作るべきです。
次。
9条2項 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない
9条の2 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する
9条の3 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない
出ました。
1番もめる「憲法9条」です。
しかし私はこの改正案に賛成です。
日本は戦争を「しない」ためにも国防軍をしっかり、それも有効な軍備を持った状態で保持すべきです。
そして3にあるように「資源」も守る、という思想にも大賛成です。資源と言うからには、土地も知的財産もすべて入ります。
現状の、中国に北海道の水源や自衛隊の基地の重要部分の隣地を買われてしまうような、防衛上非常に危険なことを、この条文によって防ぐことができます。
次です。
12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず 、 自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、 常に公益及び公の秩序に反してはならない
「基本的人権」の濫用制限と、責任、義務が付随することを憲法に入れ込むことも賛成です。
現状の、表現の自由を悪用して国益に反するような(つまり仮想敵国、貿易競合国に有利な)情報を発信することは禁止すべきです。
ただし「公益及び公の秩序に反してはならない」という条文は抽象的でいかようにも解釈できるので、このままでは問題だと思います。
誰が「公益」だと決めるのかと言えば、政府です。政府は選挙で決まりますが、ナチスだって選挙で第一党になったので、独裁国家を作れたのです。
ですから、この条文を入れるなら、関連法案で何が公益か、誰が決めるのか、意義がある時はどう申し立て、誰が審議するのか、ということを決めないと、諸刃の剣になりかねない条文です。
15条3項 公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。
公務員の条件に「日本国籍を有する者」を明記するのは大賛成です。
これで、中国、韓国といった第三国のために行政をゆがめるような公務員も、そして当然国会議員、地方議員もある程度、駆逐することができます。
少なくとも在日韓国人が行政に関与することは避けられるでしょう。
20条3項 国及び地方自治体その他の公共団体は、特定の宗教のための教育その他の宗教的活動をしてはならない。ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない
この条文も賛成です。
日本は「神の国」だとは全く思いません。しかし私は民俗学が一応の専門ですが、縄文時代から続く、日本人としての習俗は仮にそれが、宗教(と言っても組織宗教ではなく、土俗宗教なのですが)の範疇に入ったとしても、日本人の文化的伝統を守るために行政が関与して実施することを、良しとすべきです。
21条2項 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない 。
これは「表現の自由」の2項です。
これも基本的に私は賛成です。
理由は12条のところで述べました。
21条の2 国は、国政上の行為につき国民に説明する責務を負う。
これも賛成です。
今の日本政府は余りに情報発信が少なすぎます。
おまけに情報発信が下手です。
加えて、機密事項が多すぎますし、国民に厳しい現実を見せようとしません。
ですから、情報を自分で集められない、情報弱者の国民はマスコミの誤った情報に左右されて、選挙でも世論調査でも正しい判断ができないのです。
ですから、政府はNHKなどは偏向してあてになりませんから、きちんと正しい情報をそれが国民にとって痛みを伴うものだとしても発信することが必要ですし、そのための専用地上波を持つべきです。
24条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
この条文には圧倒的に反対です。
家族のことはそれぞれ事情があるのだから、国は放っておいてくれ、ということです。
もしも家族の中に、どうしようもないヤクザな禁治産者がいた場合でも、国は助けろと言うのでしょうか。
この条文が憲法に載ったら、不幸に1人の腐ったみかんのために、ほかの家族全員が不幸になる事例が頻発するでしょう。
27条の2 公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。
これも大賛成です。
公務員は税金から給与を得ている以上、お客様は国民です。
従って、客商売をしている人が、お客様のために我慢して嫌なこともしたり、したいことを我慢しているように、公務員はお客様である国民のために、時には我慢し、時には嫌でも従う必要があります。
それが嫌なら公務員を辞めればいいだけの話です。
79条2項 最高裁判所の裁判官は、その任命後、法律の定めるところにより、国民の審査を受けなければならない。
同3項 前項の審査において罷免すべきとされた裁判官は、罷免される
現状この条文は任官して「10年の猶予期間」ののち、審理を受けることになっていますが、改正案はすぐ審理を受けるとしています。
大賛成です。
98条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において 、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、 閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる
99条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる
「緊急事態宣言」の条文です。
これを入れることについても私は大賛成です。
もしも今第三国の軍隊が、日本海のどこかの砂浜(例えば島根県の砂浜)に揚陸船で上陸して来たとしても、現状では即、手を打つことができません。
条文を作って国会で審議をしてという作業が必要です。
その間に島根県は第三国に占領されてしまうでしょう。
すぐに手を打つことが政府にはできるようにしておかなければ、リスクヘッジができません。
反対する人は、反対する前に、自分が緊急事態宣言を託せる政党が国政を担えるようにすればいいのです。
100条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議により、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の賛成を必要とする。
これは憲法改正のハードルを下げる内容ですから私は当然賛成です。憲法は国民のためにあるのですから、「聖典」扱いしないで、時代に合わなくなればすぐに変えればいいのです。
そういう点で、国会の議決が2/3から過半数になった点と、国民投票が「有効投票の」過半数にするのは、「国ことを真剣に考えている人間の意見を尊重する」という意味で非常にいいと思います。
投票しないような国の行く末に興味がない国民は、決まったことに従っていればいいのです。
ということで長くなりましたが、私の意見でした。
部分的に大反対したい条文はありますが、それ以外はいい草案だと思います。