個々の社員の「集団」である「企業」を「社員の集団」だと考えた段階で、社員活性化は失敗する。

社員活性化にAIが導入されている

1年前(2023年2月26日)になりますが、、

株式会社リンクアンドモチベーションは、最新のチャットAIを活用した組織改善機能「AI組織改善アドバイザー(β)」をリリース

というプレスリリースが出ていました。

より高度で等質なコンサルティングを行うにはAIの導入が必須

この開発背景としては、従来の組織改善には、コンサルタントによる診断やアドバイスが必要でありコンサルタントの人材不足がそれを阻んでいたのに対し、「AI組織改善アドバイザー(β)」の導入によってコンサルティング機能をAI化する、と言うことのようです。

実は私たちヒューマンパワー研究所でも、個々人のモチベーションを、統計分析の結果によって推測できる相手の価値観を踏まえてコンサルティングを行って、上昇させるというサービスを提供しています。(販売名は「やる気コンサルティング」です)。

この「やる気コンサルティング」は既に半自動化されていて、1人96問のアンケートをクライアント以外の5人に行った結果で、本人のモチベーションの上げ方を、目標設定、進度管理、日常指導方法などを個別にアセスメントとしてアウトプットすることができます。

コンサルティングはこのアセスメントを参照しながらコンサルタントが自分の知見も踏まえながら行います。

現在はこの内容が非常に好評なので、問題は起こっていませんが、しかし後半部分をAI化することによって、より高いレベルで等質のコンサルティングが可能になるのではないか、と考え、1回AI開発会社に打診したのですが、現時点では開発成功の目途が立たない、開発費用もかなりかかる、ということで一旦諦め、次の導入タイミングを計っていたところでした。

しかし、AIが高度化すれば、このコンサルティング部分をAIに任せることは理論的には可能です。それはクライアントにとっても良いことであり、弊社としてもコンサルタントの莫大にな時間と労力がかかるコンサルタントの育成の点で、メリットのあることです。

「組織活性化」しか見ていない「企業活性化」は失敗する

それをこのリンクアンドモチベーション社は、「組織活性化」を目的に導入しようとしているのでしょう。

またそれ以前にリンクアンドモチベーション社は20分のサーベイで「社員の企業に対するエンゲージメント」を測定するサービスも実戦投入しているようです。

やはりどの企業もAIをいかに事業に組み込むか、と言う点に注力していることがここからもよく分かります。

ただ、他社のことなので、深く述べることは止めておきますが、社員の自社に対するエンゲージメントを測定したところで、それは「静的な結果」に過ぎず、社員を活性化し、企業の業績を向上させるためには、結局、上司と部下の間の関係性をその方向に向かって変革させなければ結局意味がないと思います。

社員を「組織」の1要素と見た組織活性化は失敗する

たとえば「愛社精神を養おう」と思った上司が、自分が新入社員の時に毎晩、終業後に上司に飲みに連れていかれ、いわゆる「自社の精神」を叩きこまれたことが良かった、と思って、それを今度は自分が上司になって再現しても、ほぼ100%社員のエンゲージメントどころかモチベーションも大きく下がるでしょう。

つまり、この上司と社員、社員同士、社員と後輩の関係性を、相手のメンタリティに合わせて改善させる仕組みがなければ、いくらエンゲージメントが正確に測れても意味がないのです。あるいは「組織風土」の状態を知ったとしても、何の変革も起こせないのです。後者はせいぜい役員や事業部長たちが、管理職の人事考査に使う、と言うのがオチでしょう。

重要なのは社員間のOne to Oneの関係性の強化と良化

ですから、1番の問題は、マーケティングで一時期、大流行りした「One to one」を今度が、職場の人間関係の中で実践する必要があるにもかかわらず、そこへ注目している企業が余りに少ない、と言うことなのです。

それを自分が大きな企業で管理職として部下をマネジメントし、一方で傘下の営業組織のあり方も、より個々の営業マンのパワーが発揮できるようなマネジメントに変革させていった私は、長らくその問題意識を持っていました。

その目測があったので、上司と部下、同僚同士、先輩と後輩の関係性を「信頼性」に昇華させ、その結果エンゲージメントも上昇する、というOne to Oneのマネジメントスキルとして開発したのが、マネジメント(モチベーション)理論「SARC」です。

企業と言うものは、少なくともあと10年は、結局のところ人と人の関係性が、業績に最も恒常的に影響を与えるのだと思います。それをすでに人を「集団」として扱ってしまう段階で、どれだけAI化しようと、おそらく効果が上がることはないのではないかと思います。