商業出版社を探していた頃
今でこそ原稿は自分の会社から出版するようになりましたが、その前はやはり商業出版から出してもらえないかと思って、何社にもアプローチしていました。今から思えば、無駄なことをしていたと思います。
その中で原稿持ち込みを受け入れると宣伝している、業界の中では大手に入るであろう出版社の話です。
最初に原稿を送ったところ、担当者から連絡が来て「面白い内容だから企画会議に出したい」という話です。
何も知らない私はそれだけで「やった、本になる」と有頂天になりました。
ただし、企画会議に企画書を出してそれが通れば、という話でした。
私は30年の仕事の中で企画書ばかり書いていましたから、得意分野です。
そこで本の内容をしっかり書いて提出しました。
なぜ企画書に著者が「販売方法」まで書かなければならないのか
すると折返し、「どういう販売方法を取るのか、も書け」という連絡です。今から思えば、これ自体がおかしいのです。なぜなら著者は本を書くのが役目で、それを売るのこそ出版社の役目だからです。
しかしそこまで考えが至らず、同じ連絡で合わせて「自分のSNSのフォロワー数を書け」とも言われていましたので、素直に書きました。
販売戦略は、口コミで売るというのは余りに効率が悪いので、ネット広告を中心に宣伝を売って販売数を伸ばすという内容にしました。
これも第2のポイントだったんですよね。SNSのフォロワーなんて普通の人でもせいぜい1000人です。それを敢えて聞く、というのはおかしいと思うべきでした。
著者買取200万円
そして出した企画書ですが、結果は没でした。没の理由は書いておらず、企画会議を通らなかった、とありました。しかし、本の一部を買い取ってもらえれば可能かもしれない、とあったので、藁にも縋る気持ちで聞いたところ、確か200万円出せ、ということでした。
それは余りに高い金額なので、断ったところそれからその出版社からの連絡はうんともすんとも来なくなりました。
それでもまだ、あくどい出版業界の仕組みが分かっていなかった私はほかの商業出版社にアプローチをしていました。
いくつか反応がありましたがどれも同じように、協力してくれるなら、という話だったので断り続ける間に、ある小さな出版社に行き着きました。
宣伝方法の過去実績さえ言えない会社
そこは非常に原稿の内容にも好意的で、そのメールの相手である社長のブログを見てみると真面目そうな内容だったので、すっかり信じ込んでしまいました。
そこで、任せるつもりで連絡したところ、やはり「販売協力金」で10万円出してほしい、とのことです。
私はその金額を出す気は(危ないことに)満々だったのですが、ネット宣伝を自分で打つつもりだったので、発売後はどのような販促をどの程度の金額で売ってくれるのかを聞きました。
内容や方法がダブっても仕方ないと思ったからです。
ところが、そこで急に相手の話が曖昧になって来たのです。
「いろいろ費用が掛かるんですよ」「宣伝はその都度方法を変えるので何とも言えません」ということをしきりに書いてきました。
その中の1つの事例でいいから教えて欲しいと言ってもやはり「それはいろいろあるんですよ」です。
最後は「素人なんだから黙っていろ」的なことまで書かれました。
要はどの会社もまともに売る気がないのだ
そこでその会社は止め、商業出版へのアプローチもやめて、じっくり考えてみました。
どうにもおかしいからです。
まず私が乗り気になった出版社についてです。
そこで、気づきました。別に過去の事例を教えてくれと言ってるんだから教えればいいのにそれもできないということは、要は「何もしないから」だと。
彼は私の出した10万円で本だけ出して、それをコネのある書店に並べてそれで終わりにするんだ、と。
つまり「自分の会社のウソがばれるから言えないのだ」と。
そう思えば大手の商業出版社も、200万ものお金を取るなら何にいくら必要なのか、ということを言うべきなのに言えないのは、それが実は200万円がまるまる出版の費用で、運よく売れた分を自分の利益にするつもりだったんだと。
そりゃあ、明らかにサギですから言えませんよね。
ダマされた例が出て来る出て来る
そこでネットで「商業出版 ダマシ」で検索すると出て来る出て来る。
いろいろな形で金を巻き上げられて、結局まともな出版ができなかった人のオンパレードでした。
自費出版もついでに調べたら、ここも同じような話で、さらにどこかの文芸サークルでは「先生」が生徒に自費出版をすすめ、その気になった生徒に出版社を紹介していましたが、その分マージンが「先生」のもとに入っていたとか、さらにあくどい先生は「出版パーティ」までさせ(信じられますか?素人の自費出版ですよ)、そのときにも自分の紹介したイベント会社からマージンを取っていたとのことです。
本当に出版業界は腐ってるな、と痛感しました。
そこで、(ほかにもそう思ったきっかけはあるのですが)自分で本を出す方法を調べ、最後はAmazonに行き着いたわけです。
それなら絶対に誰にもダマされることはありません。
それなら真っ当な会社を自分で作る
そして「同じようなひどい目に合っている人がいるに違いない」と思い、自分がその人たちの出版を自分と同じようにAmazonで出す前提でお手伝いをしようと思って会社を立ち上げました。
そして費用も完全原稿で入稿してくれたら表紙を付けて5万円、といった具合に完全にガラス張りでなおかつ、ほんの少し手間賃をいただくだけにして最低の料金体系にしました。
本当に世の中はうっかりしていると、悪人にいくらでもダマされて金を巻き上げられるな、と思い知りました。
そして自分だけはそうすまい、そしてそうなりそうな人へ啓蒙の情報発信をして代わりに真っ当な、ダマしのない方法で出版を手伝おうと思いました。
これが「合同会社カウアンドキャット」を立ち上げた理由の1つです。
これともう1つ、私の内面の話もあるのですが、それはまた次回ということにしておきます。
とにかく商業出版と自費出版はあくどい商売をしてる輩の巣窟です。
皆さま決してダマされないようにしてください。
別にうちである必要はありませんが、料金体系がガラス張りの会社を探して頼むことを、心からおすすめします。