大阪の「花を盗む」習慣

新装開店の花を盗むのって普通なの?

新装開店などの時に取引先から花をいただきます。

私も以前の仕事で新規開店をした時に、いくつもいわゆる業界では「スタンド花」と言われているものをいただきました。

胡蝶蘭を贈っていただける場合もありましたが、スタンド花の場合が多かったように記憶しています。

その時に驚いたのが、スタンド花には通常、本物の生花を刺してありますが、通りがかりのおばちゃんやおばあちゃんが、普通に、何の躊躇もなく、その生花1本、2本と抜いて行くことです。

最後には生花が全部、抜かれてしまって、スタンドの上に、緑色のスポンジみたいなもの(フローラルフォームというそうですが)だけが残っている不思議なオブジェ、という状態になってしまった場合もありました。

これは花1本、2本と言っても極論すれば「窃盗」ですから、何とか取り締まれないものかと思いましたが、不思議なのは盗んでいくおばちゃんに何の後ろめたさがないばかりでなく、抜く姿を目の前で見ているマネージャーたちが別に咎めることもない、ということです。

それで、マネージャーに聞いたところ、驚いたことに、このような「花の窃盗」は大阪では当たり前のことなのだそうです。

むしろたくさん抜かれて行った方が、新規開店した店が流行る、という迷信さえあるようで、だから喜んで「どうぞどうぞ」と言いう感じで、おばちゃんの窃盗を許していたらしいのです。

店側が本音で拒否し始めた

まあ、習慣は各地で違うので、そういうのが大阪の文化として根付いているのであれば仕方ないなと思いつつ、だんだんと花がなくなってみすぼらしくなっている「スタンド花」を見ていましたが、最近はその風習に、やはり店として「それはNO!」というところも出てきているようです。

毎朝、私たち夫婦は近所の「日本一長い」商店街を散歩しています。

その時に新装開店の店があると、やはり「スタンド花」が飾られているのですが、その花を大きな透明なセロファン紙で覆って、花を盗めないようにしている店が増えているのです。

まあ店側としてはそうだよな、と思っていましたが、先日は生花スタンドに「お願いですからまだ花を抜かないでください」と悲鳴のような貼り紙をしている店まであって、その素直さに思わず笑ってしまいました。