「パフォーマンス目標」しか認知していない上司が部下をつぶす

私たちは生まれてからずっと「目標」を意識させられている

モチベーションを上げるためには「目標」を持つことが重要だ、と言うことは現代のマネジメントにおいて、常識のようになっています。

営業マンはもちろん、経理などの内勤者も「今月の書類ミスを3件以内に抑える」などの目標を持っている(持たされている?)企業も多いでしょう。

社会人ばかりではありません。私たちが子供ころ、よく大人から「大きくなったら何になりたい?」という素朴な質問は、言葉を換えるならば「君はどういう職業に就くために頑張るのか」という「目標」を問う質問なのです。

このように私たちは子供ころから「目標」を持つことが当たり前であり、かつ「目標」がなければ成長もしないし、やる気にもならない、と言うことを刷り込まれています。

だから「将来やりたいことが見つからない」と悩む学生や、「数字、数字と言われてやる気になれない」というビジネスマンも、その反動として生まれるわけです。

しかしこれらの「目標」は実は、「目標の持つ2面性」のうちの1つしか扱っていません。

実は「目標」というものには2つの側面があります。

あなたが「目標」と言っているのは「パフォーマンス目標」

1つは「パフォーマンス目標」です。

これがいわゆる私たちが普段から「目標」と言えば頭に浮かぶ類いのものです。A国立大学の入試に合格する、今月5件の新規客を獲得する、料理の腕前を上げて夫に美味しい夕食を食べさせる、など、どれも「パフォーマンス目標」です。

つまり、「目指すゴール」を「目標」と言っているわけです。

企業から家庭に至るまで、称揚されるのはこの「パフォーマンス目標」を達成した場合がほとんどです。つまり「売上目標を達成した!」「マラソン大会で完走した!」などです。

しかし世の中はこのような「ゴールを目指す」と言う意味での目標、つまり「パフォーマンス目標」を持つことでモチベーションが上がる人ばかりがいるわけではありません。中には、どのようなゴールに向かっていてもいいから「みんなで一体感も持って取り組んでいる」とモチベーションが上がる人もいます。

こういう人に「君はA商事の販売促進企画のコンペに勝って、その商談を獲得することが今月の目標だ」と言っても、全くモチベーションは上がりません。そうなってしまうと彼は「自分は目標に対してモチベーションが上がらないダメな人間なんだ」と自己否定してしまいます。

上司も「彼は真面目なんだが目標に挑戦しようという積極性がない」などのマイナスの評価を下しがちです。

もっと評価されていい「プロセス目標」

しかし「目標」にはもう1つの側面があります。それが「プロセス目標」です。

よく企業の管理職の方からご相談を受けるのが「うちのB君は、能力があるんだけど、プレッシャーに弱いんだよねえ」と言うような言葉です。しかしよく話を聞くと、Bさんには「与えられた仕事を予算内かつ期限内に、正確かつ完璧に行う」という長所があったりもします。

しかしその管理職の方は「それなのに、何で自分を売り出すいい機会になる今回のプロジェクトに前向きに取り組まないんだろう」と悩むわけです。

この現象こそ、日本のマネージャーが、というよりも、企業の管理職だけではなく、教師、両親、場合によっては不勉強なコンサルタントまで、日本中の「管理者」が持っている、偏った「目標」の捉え方なのです。つまりこのような人たちは「目標」=「パフォーマンス目標」としか考えていないわけです。

「プロセス目標」とは「あるゴールに向かうまでの取り組み方」に対する「目指す姿」です。たとえば「1つ1つコツコツと取り組む」「チームで一体感をもって取り組む」「失敗をしないようにやり遂げる」などです。

それは「目標」の達成の仕方ではないか、と疑問を持つ人もいるかも知れませんが、これを「目標」にしている人もいるのです(だからこそそういう人は「パフォーマンス目標」こそ目標、という「ドグマ」に冒されていて、「自分には目標がない」と自己否定しまうのです)。

「パフォーマンス目標」「プロセス目標」のどちらが良いか?どちらもOK!

つまり「目標」には2面性があると書いたのは以上のようなことからです。

例えるならば

  • 目標1:100km先の凪いだ海上に資源の豊富な島があるので、そこへ行って貴重な鉱物を掘り出してくる。
  • 目標2:非常に荒れた海を乗り切り1000km向こうにあると言われている島の存在を確認する。

という2つの目標です。

目標1は途中の道筋を越えることには全く意義がなく、意義があるのは「貴重な鉱物」を掘り当てるという「パフォーマンス」、つまり「結果」です。

一方で目標2は、島にどのような資源があるか分からないし行く意義があるかどうかも分からないが、しかし荒れた海を乗り切って新しい航路を確立するという「プロセス」が目標です。

つまり先に挙げた「失敗をしないで完璧に納期内で仕事を終わらせる」というB君は「失敗をしない」「納期に収める」「内容を完璧にする」という目標を実は自分なりに持っているのです。

従ってB君には、社内的に目立つ新規プロジェクトで活躍するという目標ではなく「いつもの仕事を完全に任せられ、それを完璧に終わらせる」という目標を与えるべきであり、そのような「プロセス目標」こそB君のモチベーションを上げるのです。

B君にこのような仕事ばかり任せていると「成長」しないのではないか、と思う管理職の方もいるかも知れません。

しかし、B君にはいつもよりも少しだけ難易度が高い目標を与えていけば、「プレッシャーに負ける」こともなく、少しづつレベルの高いことができるようになり、かつB君自身も自己肯定感を持つことができるのです。つまりB君が成長するかどうかは、まさに管理職の腕次第というわけです。

今までの企業は「パフォーマンス目標」を達成する人間ばかりを評価して来ました。

成長期の企業ではそれでいいかもしれません。しかし安定期に入って、会社のヒト、モノ、カネ、時間という資源の効率を上げて、利益を出していくためには「プロセス目標」も「パフォーマンス目標」と同様に評価し、称揚していく必要があるのです。

自分の部下に向いているのは「パフォーマンス目標」か「プロセス目標」か?

しかし、上司の方からすれば自分の部下にとって「パフォーマンス目標」と「プロセス目標」のどちらを与えた方が、より相手の力を引き出し、成長させられるのか、ということを見極めるのは難しいかもしれません。

特に人間は自分の成功体験のコピーを作ろうとしますから、バリバリと成果を挙げて出世して来た「パフォーマンス目標型」管理職には、「プロセス目標」が理解はできても、まどろっこしく感じる可能性もあります。

そのような「人によってどのような目標の与え方が最も適しているか」「どういう目標なら自分の部下はモチベーションが上がり、成長するか」ということを解決するスキルがあります。

それは、弊社が独自開発した「SARC」と言うマネジメントスキルです。「マネジメント」ですから「モチベーションの上げ方」も「仕事の管理の仕方」も全て含まれます。

この「SARC」を身に付ければ、部下によって「パフォーマンス目標」「プロセス目標」のどちらを与えるかが分かり、人の個性を生かしたマネジメントができるようになるでしょう。

この「SARC」の習得するには、御社に弊社の講師が伺って管理職研修を行う方法と、弊社のコンサルタントと90分のオンライン面談「やる気コンサルティング」を受けるという方法の2つがあります。

どちらも詳しいことは、

最強のマネジメントスキル「SARC」

に記載されています。企業研修のご相談も、「やる気コンサルティング」を受けるのも、ここから可能ですからでぜひ覧ください。