セレブな街での教育トラブル

芦屋市で改革派の教育長選任が否決!

兵庫県というか関西圏で最もセレブな街、芦屋市で教育についてのトラブルが発生しています。

そもそもは灘中・高→ハーバード大学、という、ザ・進学競争勝利者でまだ26歳の高島崚輔市長が「ちょうどの学び」というキャッチフレーズで教育改革をしようとし、それに適任の教育長をさいたま市で同じく教育長を2年6期務めた、細田真由美氏を選任しようとしたところ、市議会で否決されたのです。

その反対投票をした議員の談話では、反対の理由は「芦屋とのゆかりが薄い」「埼玉に住む人が芦屋に頻繁に来るのは難しく、教育委員制度を軽視している」という、つまり「芦屋は特別なセレブレートな場所なのに、埼玉なんかから着た奴に教育庁などさせるものか」という、全く本質と異なる、芦屋住民のいやらしい特権意識の表れなのです。

芦屋の常識は世間の非常識

私の何回目かで転職した会社の社長は芦屋生まれのまさに灘中→東大の人でしたが、別にセレブっぽくはなかったものの、会社にはランボルギーニで来るし、ヨットに自分のお気に入りの社員を招待してクルージングを楽しんだり、という感じでまさにセレブでした(売っているものは非常に庶民的な商品なのですが)。

しかし日頃接する時にはセレブ感は特になく(その代わりに物凄いパワハラで、百戦錬磨の部長クラスのメンタルを何人も怖し、最後は自分が好きな仕事だけしたいために会長になり、持病がある人間を社長に据え、結局その社長は60代で持病悪化のために亡くなる、というとんでもない人間でした)

ただ、これは先日2人会で聞いた、桂出丸さんのまくらでは、芦屋のブティックで、その店の太客のお別れの会をするので、来てくれと言われて言ったところ、13人のいかにもセレブなマダムが待っていて、一生懸命したのに、全くウケなかった、という顛末を話していました。

まあセレブは落語なんか聞かないでオペラとか歌舞伎とか宝塚を見るんでしょう。いずれにしても、自分たちの固まった「芦屋は特別」意識に反するものは、徹底的に否定する、という土地柄です。

教育長候補はさいたま市で6年教育改革をした、実力者

で、そんなに新任教育長候補の細田氏が、まあ例えば市長のコネなどで呼ばれた、中身のない人なのかというと、

教育デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、ベネッセコーポレーションや日本マイクロソフト、内田洋行、プログラミング教育のライフイズテック(東京・港)と連携協定を結んだ。
デジタル技術を活用し、教育現場での学習方法や教え方、働き方を改革する。協定は4社と個別に結んだ。ベネッセとは同社の学習ソフト「ミライシード」の学習データを活用し、効果的な学習方法などを研究する。日本マイクロソフトとは教育現場の組織文化を改革し、業務のデジタル化を進める。
内田洋行とは各社の学習ソフトで集めたデータを集約し、生徒のデータを可視化する

(日本経済新聞 2022年10月31日)

など、成功しているかどうかは知りませんが、少なくともリアルな教育問題を取り上げ、更に最新の便利ツールや、それを提案できる若手スタッフと共に、改革を進めようとする人物だということは分かりました。

だからこそ、26歳の市長は呼ぼうとしたのでしょう。

これに対しての反対意見が

「芦屋とのゆかりが薄い」→つまり、芦屋生まれ芦屋育ちの人間しか受け入れないのか?

「埼玉に住む人が芦屋に頻繁に来るのは難しく、教育委員制度を軽視している」→芦屋まで埼玉からなら、4時間で来られる。毎日でなくても、月曜に出張で来て、水曜まで勤務し、あとは埼玉に戻ってオンラインで仕事はできる、というような現代では当たり前の働き方も知らんのか?

ですから、本当にセレブの特権意識は、致命的ですね。

芦屋の子供の全員が灘中に行ければ改革は不要だろうが・・・

自分の子供に対し、小1から家庭教師をつけて、灘中に入れられればそれはいいでしょうが、それ以外の子供だって芦屋にはたくさんいるはず。そして先ほどから、絡んでいるように、特権意識が強い=生徒の中のカースト制が絶対にある、ということが予想されますから、教育環境は(セレブの子供にとってはいいかもしれませんが)、それ以外の普通の子供には最悪だと思われます。

その辺りも含めて、芦屋というお金だけはたんまりある地域で、予算をしっかり使って教育環境を良くしようという試みを、実に下らない理由で潰してしまう芦屋の議員と、その有権者は本当に社会全体で見れば害悪でしかありません。