未成年の強盗

余りに愚かな犯罪行為

日本最高の繁華街・銀座で真昼間に「高級腕時計店」が強盗に襲われた、と言うニュースが少し前に報道されました。

今大阪に住んでいる私でさえ、まあ元は関東の人間なので、TVで報道されるその店構えを見るだけで、銀座のどの辺のあの店だと分かるくらいの有名店です。

そこに、いくら平日とは言え、何せ銀座ですから結構な買い物客や、あるいは昼食に行くビジネスマンなどが見ている中で、堂々と全面ガラス張りの店に3人の黒づくめ・白いカーニバルで使うような仮面の男たちが侵入し、「バールのようなもの」(という傑作が原作・清水義範、落語化・立川志の輔、であるのですが、それはともかく)を使い、ガラスのショーケースをぶち壊して乱暴にロレックスやら何やらを袋に突っ込んで、白いワゴンで逃げ去った、と言うのですから、その大胆さ、と言うよりもあほらしさに驚きました。

なぜなら、今は日本のちょっとした繁華街にはどこでも防犯カメラが設置されていますし(あの、銀座ならなおさらです)、Nシステムという主要道路を通る車の画像を記録する防犯システムが完備されている中で、よほどのことがない限り逃げ切れるわけがないのです。

そしてそもそも、そのような盗品は換金するのが大変ですから、そのルートも持っていなければなりません。

最初は、この無謀さと換金ルートを持っているという点から言って、中国系の蛇頭などが裏で糸を引いているのかと思っていましたが、やはり簡単につかまり、明らかになったのは、単に十代の4人(1人は運転役)の犯行で、裏はなかったということでした。

まあ、つまりはNシステムの存在、防犯カメラの存在、換金ルートの確保など「強奪した後、どうするんだ」と言うことまで考えが至らない頭の悪い若者の犯行だったということです。

ということで、事件自体は実に愚かなものだったわけですが、私ががっくり来たのは、それに関してニューズワイドショーが特集した時にのコメンテーターたちの、頭が昭和のままの、余りに現代を知らない発言です。

若者が純真だという迷信

彼等は口々に

「若者たちがこんな犯罪をするなんて信じられない」

「このような犯罪が起こるまで、日本の治安は乱れているのか」

などと、ネズミのようにチューチューとわめき、その背景にある「闇バイト」なるものを取り上げて口角泡を飛ばして問題視していました。

しかし、若者だから犯罪をしない、大人は犯罪をする、という「若者は純真」という誤った昭和の幻想は、あくまで幻想で、その頃だって、少年犯罪(まあ今回は19歳などが入っているので、正確には「少年犯罪」ではありませんが)は起こっていました。

ただそれが万引き、カツアゲ、と言った非常に原始的な、かつ単独行動なので規模も小さいものだっただけなのです。

若者の凶悪犯罪が増えたのは環境が整ったということだけが理由

それが現代になって、

ネットで簡単に仲間を募れるようになったので規模が大きくなった(要はこの募集システムが「闇バイト」であって、本質は「出会い系サイト」と変わりません)

昭和に比べればより「金があれば幸せになれる」という時代になった(例えば音楽1つ取っても、昭和は無料のFM放送から必死に聞いて、それをラジカセで録音したものですが、今はコンビニに行って「ituneカード」を1500円、2000円と言うのを買って、音楽をダウンロードすれば、音質のよい好きな曲をいつでも聴くことができます)。逆に言えば若者は昭和の時よりもより「現金」を必要にするようになった

ということがあるわけです。

そしてネットで検索すれば、変装用の服、仮面もいくらでも購入できますし、駐車してある車をどうやったら盗める、と言う情報もすぐに手に入ります。

更に今回の彼らが考えていなかった「換金ルート」も、ネット上ではいくらでもあります。昭和は質屋くらいしか近くにはありませんでしたから、盗品を疑われたら、すぐに通報されていまいました。

つまり、昭和は環境的に若者は「些細な犯罪」しかできなかっただけで、「純真」でもなんでもなかったのです。それが、主に情報面での環境が整い、同時に現金の必要性が増したことで、犯罪がエスカレートしたというのが実態でしょう。

世の中には「分別のある人間」と「ない人間」がいるだけ。年齢は関係ない

それを「若者は純真なのに、なぜこのような犯罪を」という趣旨のコメントをする「識者」は本当に頭の中が「昭和」で止まっているのか、物事の本質をつかむ能力がないかのどちらかでしょう。

若者が純真である、などという公理はありません。

世の中に「分別がある人間」と「分別のないバカな人間」がいるだけです。

そしてそれは、年齢に関係なく、それこそ幼稚園から老人まで、あまねくその2つが分散しているのです。

幼稚園児まで?というかも知れませんが、彼ら・彼女らが同じクラスの園児にどのようないじめをしているかを見れば、「七歳までは神の子」なんて話は、もともと宗教的な要素が加わったフィクションだったということがすぐに分かります。

まあ、これからも若者の犯罪、あるいは外国人の犯罪(不法移民を日本国が厳しく取り締まらないので、増加するのは当たり前です。不法入国で真っ当な仕事が得られない外国人は当然犯罪に走ります)が増加するのでしょう。