不登校、いじめ増加の中でフリースクールの意義とは?

相変わらず不登校もいじめも増加している

朝日新聞によれば

神奈川県内の公立小中学校で昨年度、不登校の児童・生徒数が前年度から3667人増えて2万323人となり、過去最多となった。公立高校・特別支援学校を含めたいじめの認知件数も前年度比7252件増の3万8087件で過去最多

朝日新聞 2023年10月26日

とのことです。

これは率に換算すると、不登校児童は前年比122%の増加です。いじめも同様に換算すると、前年比102.4%です。いずれも小中高生にとって、ますます学校は非常に居心地の悪い、あるいは居場所のない「場所」になっているということが分かります。

念のため、全国の数字を調べたところ、少しデータは古いですが、文部科学省の「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によれば、不登校児童は299,048人であり、前年比122.1%の増加で過去最多です。

いじめの方も同じ調査によれば、令和4年の「認知数」は681,948件で前年比110.8%と大幅増です。

この状況に対し文部科学省も各自治体、あるいはNPOなどでそれぞれ対策が行われています。

フリースクールとは何か

その1つが「フリースクール」と言われているものです。

これは何かと言うと、年度は不明ですが文部科学省は

一般に、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設を言います。その規模や活動内容は多種多様であり、民間の自主性・主体性の下に設置・運営されています。平成27年度に文部科学省が実施した調査では、全国で474の団体・施設が確認されました。

文部科学省 「フリースクール・不登校に対する取り組み」

とかなり素っ気なく説明しています。

実際にフリースクールに取り組んでいる、現場に近い人の認識としては、株式会社プレマシードによれば

フリースクールとは、何らかの理由から学校に行くことができない、行かない、行きたくても行けない……という子どもたちが、小学校・中学校・高校の代わりに過ごす場所です。不登校やひきこもりをはじめ、軽度の発達障害、身体障害、知的障害などの事情を抱えるたくさんの子どもたちを受け入れ、学びの場を提供しています。個人経営、NPO法人やボランティア団体などが運営する民間の教育機関になるので、それぞれの方針や教育理念の違いによって形態もさまざま。かかる費用も一様ではありません。共通するのは、子どもたちの主体性を尊重しているところと言えます。

「不登校サポートナビ」

とのことですから、文部科学省自体の認識もまだ表面的だと思われます。

私は、とにかく子供たちが生き抜くためには、社会と言う不親切、不平等、不条理な世界に対する耐性をつけなければならないと思っていますから、フリースクールで「疑似社会」での失敗をサポート付きで事前体験し、そうならないための「練習」をする機能として「フリースクール」は非常に良いと思います。

学習は「制度」を通過することではなく「訓練を行うこと」だ

しかしこれに対して、滋賀県東近江市の小倉正清市長が

文部科学省がフリースクールを認めてしまったことにがくぜんとしている。フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない。(中略)フリースクールというのは親の安易性が露骨に出ている。親の責任なんだよ、ほとんど。私から言わせたら

(朝日新聞 2023年10月18日)

などと発言し、大きな反発や批判が起こっています

この批判は当然でしょう。

要は小椋市長は、学習と言う「社会で生き抜くスキルやメンタル」を養うことは、文部科学省が認可した「学校」で行わなければならない、そしてそのためには家庭において親も相応の努力をしなければならない。ということを言っているわけです。

それも「学習」を「内容」で考えず「制度」として考えている点が、完全に尋常小学校の時代から全く進歩していないと言えるでしょう。

しかし私が、途中まで執筆し余りに話が大きくなったのでとりあえずおいてある論文によれば、不登校は学校と言う「社会」環境に順応できない子供が自分を守るために行うことです。

更に、行為として「不登校」とは全く別に見える「いじめ」も、学校と言う社会にける「自分の立ち位置」を失わないようにするために、最初からスケープゴートを決め、ほかの子供たちと「団結」して相手を否定し、自分が社会から逸脱しないために環境を自分仕様に変えている」現象です。

つまり「不登校」も「いじめ」も子供たちが社会に適応できにくくなっている、と言うことから起こっている、根は同じ問題なのです。

先ほど挙げた東近江市の小椋市長は、この轟轟たる非難に対し、その先鋒であった県フリースクール等連絡協議会の谷川知、西村静恵両副会長と会談し

思慮に欠けた発言でフリースクールの運営者、保護者の皆さんに深い傷を負わせた。おわびを申し上げなくてはいけない

毎日新聞 2023年10月27日

と謝罪したもの、発言の撤回については

国会質問でも取り上げられ、この時点で撤回することに意味はない

毎日新聞 2023年10月27日

と述べたと言います。

つまりこの市長は「学校での社会適応トレーニングができない子供のためのセーフティーネットなどは不要である」と言う考えについては、誤りだったとは思っていないのです。

なぜ不登校やいじめが増えたのかについてはまた別項で述べたいと思いますが、このような首長の率いる地方自治体に居住する成人も子供も気の毒としか言いようがありません。