日本と海外の「プリコジンの乱」の情報の違い
ウクライナの国民や兵士の皆さんからすればこんな興味半分の関心は気分が悪いかもしれませんが(そしてロシアの「この戦争に何の意味があるんだ」と思いながら戦っている兵士の皆さんにとっても)、毎日、ニュース系Youtubeやアメリカの新聞などをネットで追いかけて戦況の行方を見守っています。
今はまさに、いわゆる「プリコジンの乱」の余波とその本質的な意味についての解説が非常に多いのですが、日本のTV「ニュースバラエティ」でもそのあたりを取り上げています。
しかし7/1の昼間のある番組では、その点を「専門家」が出て来て解説していましたが、彼の解説でなぜ「プリゴジンの乱」が発生したのかという話を聞いていると、あまりに(専門家の癖に!)情報が古くて、怒ってしまいました。
彼は「プリゴジンの乱」の要因は、ワグネルの兵士が全員ロシア国軍に登録しなければならないという法律が施行されたことによって、プリゴジンからワグネルが取り上げられてしまう、ということについて抗議するために蜂起したと解説していました。
日本のメディアの情報は世界の一流メディア、ネットで流れているリアルな情報から完全に3日は遅れている
しかし、それはもう3日も前の情報です。
7/1時点で(このブログを書いているのは7/2正午ですが)ニュース系Youtube、ソーシャルメディアの投稿など誰もが入手できる公開情報の断片を集めてつなぎ合わせて分析してくれる「OSINT(オシント)」と呼ばれる人たちのTwitter、IWS(アメリカ戦争研究所)の公式発表、あるいはアメリカのCNN、ABC、NEWS YORK TIMESなどのメディアを見ている限り、以下の状況であるという分析は、情報世界では共通認識となっています。
- もともとロシア軍内に派閥争い(ショイグ国防大臣ら主流派と、スロビキン副司令官らの反主流派)があった
- プリコジンは反主流派と近かった。特にショイグらの戦略的にレベルの低い作戦命令や、そもそも意味のないウクライナ侵攻への批判という意味では、意見が一致していた。
- 従って「プリコジンの乱」の蜂起計画はスロビキン副司令官らも知っていた。しかし何らかの理由でその蜂起には合流しなかった(あるいは、同時にクーデターを起こす計画だったものが、プリゴジンが追いつめられて先走ったので、プリゴジンの1人の反乱になってしまった)
- ・そのような「裏の連携」があった証拠に、すでにプーチンもプリゴジンとスロビキン副司令官プリゴジンとが近いことを知っていたため、プーチンの命令でスロビキン副司令官ほか反主流派の高級将校が30人拘束されたという情報が流れている
- ・同時に、プリコジンが挙兵した前後にロシアを出国した人間も、反乱を知っていた可能性があり、現在そのリストアップをFSB(ロシア連邦保安庁。昔の悪名高きKGB)が行い、反乱への関与について調査し、随時拘束の方向である
このように、刻々と変わる情報を、先に挙げたメディアはまさに前線にいるかのような迅速さで伝えてくれています。
その中で、日本のオールドメディアは、情けないことに3日前の情報を得々と語っています。
日本のオールドメディアが流すのはニュースじゃない。「オールズ」だ!
本当に、左翼・中国共産党に偏向した情報や、韓国左派の日本叩きに相乗りした報道などで、いい加減、日本のオールドメディアはダメだなと思っていましたが、今回のこの情報の遅さで、その思いを一層強くしました。
日本のTVや新聞は「OLD Media」と称されていますが、まさにその名に恥じない情報の「古さ」です。
発言は偏向しているわ、情報は古いわ、というメディアがこの世に存在する価値はあるのでしょうか?
いずれにしても、これからはニュース番組と言わずにオールズ番組というべきでしょう。